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2014年12月22日08:42

吉名古窯(よしなこよう)とは?
浜北区北部の山麓には、奈良時代から鎌倉時代の窯跡が多く発見されています。
窯跡は7地点に別れて総数30基以上が存在し、総称して宮口古窯跡群と呼ばれています。
宮口古窯跡群が最も栄えたのは平安時代で、吉名古窯跡群もその一つです。
吉名古窯跡群は浜北明神池運動公園の南側、上位段丘の富岡段丘を開析してできた谷にあり、現在までに9基が確認されています。
今回紹介するのは、現在整理作業を進めている1号窯で、昭和34年(1959)に静岡大学教育学部浜松分校歴史研究部で発掘調査されたものです。
窯は斜面に溝を掘った後に天井を架けたトンネル状の構造で、谷側を狭くしてそこで火が焚かれました。
窯の構造は古墳時代から奈良時代まで大きく変化していませんが、平安時代になると、火回りをよくするために、分焔柱が設けられるなど、新しい技術が導入されました。
この最新技術が吉名1号窯にも導入されていました。
吉名古窯から出土した陶器
割れた陶器や歪んだ陶器は灰や炭とともに、窯体からかき出され、谷側に捨てられました。
吉名1号窯の灰原からは数千点に及ぶ大量の陶器が出土しました。
出土遺物はすべて灰釉陶器(かいゆうとうき)と呼ばれる陶器で、種類には碗、皿、壺、甕、鉢、円面硯、宝輪、瓦などがあります。碗は今の茶碗にあたるもので、形も今のものと良く似ています。
皿には細かな形の違いはありますが、今の小皿にあたるものです。
壺や甕は、水や酒などの液体を入れておく貯蔵具や容器です。鉢は、現在の丼や大皿にあたるものです。
これらの陶器は、生活に用いられる食器や容器で、ほとんどが日常雑器と言えるものです。
しかし、吉名1号窯で焼かれたものの中には高級食器に含められるものが存在します。
それは碗の内面に蝶や花の模様が描かれたもので、中国の銅碗に起源があります。
これらは当地域の豪族や富裕層により消費されたものと想像されます。
硯(すずり)や寺院用の焼物も出土
陶硯は、すり面が円形の円面硯、U字形をした風字硯があります。
円面硯には脚部がついていて、そこには透かしと模様が施されています。
風字硯は黒と赤の2色の墨が使用できるよう中央に土手があります。
硯は飛鳥・奈良時代以降に記録を文字で残す必要がある役所や、写経を行う寺院で用いられるようになりました。
吉名1号窯で作られたものの中には、宝輪と瓦など寺院の建物用の焼物もあります。宝輪は寺院の塔の頂部を飾るもの、瓦は寺院の建物に葺かれるもので。供給された寺院は今までの調査では判明していません。今後、浜北区北部を歩いて、候補となる遺跡を探したいと考えています。
出土品の整理作業は報告書にまとめられました。
遠州山辺の道スペシャルガイドウォーキング
「吉名古窯現地説明会」
平成27年1月11日(日) 10:00~12:00
申し込み先 遠州山辺の道の会事務局
住所、氏名、年齢、連絡先 葉書に明記
浜北区役所まちづくり推進課へ
問い合わせ:053-586-6201
平安時代の陶器工場 、吉名古窯≫
カテゴリー │遠州山辺の道の歴史

吉名古窯(よしなこよう)とは?
浜北区北部の山麓には、奈良時代から鎌倉時代の窯跡が多く発見されています。
窯跡は7地点に別れて総数30基以上が存在し、総称して宮口古窯跡群と呼ばれています。
宮口古窯跡群が最も栄えたのは平安時代で、吉名古窯跡群もその一つです。
吉名古窯跡群は浜北明神池運動公園の南側、上位段丘の富岡段丘を開析してできた谷にあり、現在までに9基が確認されています。
今回紹介するのは、現在整理作業を進めている1号窯で、昭和34年(1959)に静岡大学教育学部浜松分校歴史研究部で発掘調査されたものです。
窯は斜面に溝を掘った後に天井を架けたトンネル状の構造で、谷側を狭くしてそこで火が焚かれました。
窯の構造は古墳時代から奈良時代まで大きく変化していませんが、平安時代になると、火回りをよくするために、分焔柱が設けられるなど、新しい技術が導入されました。
この最新技術が吉名1号窯にも導入されていました。
吉名古窯から出土した陶器
割れた陶器や歪んだ陶器は灰や炭とともに、窯体からかき出され、谷側に捨てられました。
吉名1号窯の灰原からは数千点に及ぶ大量の陶器が出土しました。
出土遺物はすべて灰釉陶器(かいゆうとうき)と呼ばれる陶器で、種類には碗、皿、壺、甕、鉢、円面硯、宝輪、瓦などがあります。碗は今の茶碗にあたるもので、形も今のものと良く似ています。
皿には細かな形の違いはありますが、今の小皿にあたるものです。
壺や甕は、水や酒などの液体を入れておく貯蔵具や容器です。鉢は、現在の丼や大皿にあたるものです。
これらの陶器は、生活に用いられる食器や容器で、ほとんどが日常雑器と言えるものです。
しかし、吉名1号窯で焼かれたものの中には高級食器に含められるものが存在します。
それは碗の内面に蝶や花の模様が描かれたもので、中国の銅碗に起源があります。
これらは当地域の豪族や富裕層により消費されたものと想像されます。
硯(すずり)や寺院用の焼物も出土
陶硯は、すり面が円形の円面硯、U字形をした風字硯があります。
円面硯には脚部がついていて、そこには透かしと模様が施されています。
風字硯は黒と赤の2色の墨が使用できるよう中央に土手があります。
硯は飛鳥・奈良時代以降に記録を文字で残す必要がある役所や、写経を行う寺院で用いられるようになりました。
吉名1号窯で作られたものの中には、宝輪と瓦など寺院の建物用の焼物もあります。宝輪は寺院の塔の頂部を飾るもの、瓦は寺院の建物に葺かれるもので。供給された寺院は今までの調査では判明していません。今後、浜北区北部を歩いて、候補となる遺跡を探したいと考えています。
出土品の整理作業は報告書にまとめられました。
遠州山辺の道スペシャルガイドウォーキング
「吉名古窯現地説明会」
平成27年1月11日(日) 10:00~12:00
申し込み先 遠州山辺の道の会事務局
住所、氏名、年齢、連絡先 葉書に明記
浜北区役所まちづくり推進課へ
問い合わせ:053-586-6201