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2020年03月15日15:04

ご先祖の舟って、どんな舟?
そこからスタートしたのが、日本の国立科学博物館と台湾の国立台湾史前文化博物館が共同で実施した「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」。約60名の研究者、探検家、運営スタッフが協力し、「完全再現」は無理でも、現代人の知恵と工夫で「徹底的に突き詰めて可能な限り再現」しようという試みです。2度のクラウドファンディングで6000万円近くを集めて実現した、一大プロジェクトでした。
『サピエンス日本上陸 3万年前の大航海』では、その一部始終を記しましたが、ここでその一端を紹介します。
旧石器時代の舟は遺跡に残っていないため、それを絞り込む実験から、プロジェクトがスタートしました。
候補となるのは、草・竹・木の3種類。それぞれを試作し、黒潮の海を越えられるか海上でテストします。
2016年の与那国島での実験では、草の舟が浮力に優れ、高い安定性を示すことに驚かされました。

2017~2018年に、台湾で原住民のアミ族の方々に作ってもらった竹のいかだ舟は、山での竹の探索、伐採、運搬、前処理、組み立て、維持などの工程に予想外の時間と労力を要することを知り、奥深さを実感しました。これらは海に出る前にすべきことを教えてくれた、得難い経験でしたが、残念ながらどちらの舟も強大な黒潮に行く手を阻まれ、海上でのテストはうまく行きませんでした。
2つの舟がうまくいかず、最後に残ったのは、当初ありえないと考えていた丸木舟。しかし旧石器時代の石斧で、直径1メートルの木の伐採が可能であることが確かめられ、私たちはこの最後の可能性に、プロジェクトの命運をかけることになりました。
太古の祖先の冒険に、ロマンを感じる
さらに台湾から「見えない」とされていた与那国島が、本当は現地の山から見えることを現地調査で確認し、黒潮の海を何度も体験して、私たちは、「祖先たちがどのように島を発見し、どのように黒潮の海を知り、どういう作戦を立てて島を目指したか」というシナリオを作っていきました。
そうして2019年の夏に挑んだ、台湾から与那国島を目指す200キロメートル以上の実験航海は、現代の道具を使わず、星や波から方角を探る古代ナビゲーションによる航海です。
それは当初想定を大幅に上回る45時間をかけ、予期せぬ荒れた海、曇天で星が見えない厳しい夜をくぐり抜け、睡眠不足の中、いつまでも島が見えない不安に悩まされた男女5人が、最後は見事に島にたどり着いた、感極まる冒険でした。

太古の祖先たちも、こうして島へやってきたのかと想像すると、思わず胸が熱くなります。
丸木舟で最強クラスの海流を超える≫
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ご先祖の舟って、どんな舟?
そこからスタートしたのが、日本の国立科学博物館と台湾の国立台湾史前文化博物館が共同で実施した「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」。約60名の研究者、探検家、運営スタッフが協力し、「完全再現」は無理でも、現代人の知恵と工夫で「徹底的に突き詰めて可能な限り再現」しようという試みです。2度のクラウドファンディングで6000万円近くを集めて実現した、一大プロジェクトでした。
『サピエンス日本上陸 3万年前の大航海』では、その一部始終を記しましたが、ここでその一端を紹介します。
旧石器時代の舟は遺跡に残っていないため、それを絞り込む実験から、プロジェクトがスタートしました。
候補となるのは、草・竹・木の3種類。それぞれを試作し、黒潮の海を越えられるか海上でテストします。
2016年の与那国島での実験では、草の舟が浮力に優れ、高い安定性を示すことに驚かされました。

2017~2018年に、台湾で原住民のアミ族の方々に作ってもらった竹のいかだ舟は、山での竹の探索、伐採、運搬、前処理、組み立て、維持などの工程に予想外の時間と労力を要することを知り、奥深さを実感しました。これらは海に出る前にすべきことを教えてくれた、得難い経験でしたが、残念ながらどちらの舟も強大な黒潮に行く手を阻まれ、海上でのテストはうまく行きませんでした。
2つの舟がうまくいかず、最後に残ったのは、当初ありえないと考えていた丸木舟。しかし旧石器時代の石斧で、直径1メートルの木の伐採が可能であることが確かめられ、私たちはこの最後の可能性に、プロジェクトの命運をかけることになりました。
太古の祖先の冒険に、ロマンを感じる
さらに台湾から「見えない」とされていた与那国島が、本当は現地の山から見えることを現地調査で確認し、黒潮の海を何度も体験して、私たちは、「祖先たちがどのように島を発見し、どのように黒潮の海を知り、どういう作戦を立てて島を目指したか」というシナリオを作っていきました。
そうして2019年の夏に挑んだ、台湾から与那国島を目指す200キロメートル以上の実験航海は、現代の道具を使わず、星や波から方角を探る古代ナビゲーションによる航海です。
それは当初想定を大幅に上回る45時間をかけ、予期せぬ荒れた海、曇天で星が見えない厳しい夜をくぐり抜け、睡眠不足の中、いつまでも島が見えない不安に悩まされた男女5人が、最後は見事に島にたどり着いた、感極まる冒険でした。

太古の祖先たちも、こうして島へやってきたのかと想像すると、思わず胸が熱くなります。