小野口の伝承(7)

遠州山辺の道の会

2014年04月18日 08:00

機織池(ハタマガイケ)

山林に、はたまがいけと言う池があります。


今は、池の直ぐそばを、舗装された道路が出来て、ひっきりなしに車の行き交う騒がしい場所になりましたが、このお話の頃は、周囲を緑の木立に囲まれ、三方原台地の湧水を湛えた静かな綺麗な池でした。

この池には、美しく優しい女の神様が住んでいました。神様は、いつも、機を織っているのでしょう。池のそばに近づくと「かたん・つー、かたん・つー」と、機を織る音が響いていたので、誰言うとなく、機織池(はたまがいけ)と呼ぶようになりました。

神様は本当に優しい神様で、村人が困った事や、難しい事を相談すると、快く、引き受けてくれました。
明日寄り合いがあるのに、食器が足りないなどというときは、池のほとりに立って、お願いすると、次の日、必要なだけの食器が届けられました。

あるとき横着な村人がお願いして食器を借りましたが、一つ壊してしまいました。一つくらい足りなくても判らないだろうと、足りないまま返したら、次からは、どんなにお願いしても願いは聞いて貰えなくなりました。

日本中方々にある碗貸し伝説が、ここにもあるのは嬉しい事です。(山内)

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